フラミンゴの壁
そこにはダナエとアテネがいた。

「ついに目覚めたわね。」

「そっちのほうがやっぱり男前ね、ぐっとヒーローっぽいわ。」

ダナエが笑みをこぼしながらいう。

アテネは俺に向かって「タロチャン」と呼んび駆け寄ってきて俺を抱き締めた。
俺はそのままアテネの肩を抱き寄せた。
そしてダナエを自分のそばへと呼んで同じように抱き寄せた。

「さぁ、お前たちが望んでた世界へ向かおうか!」

「世界はいつも新しい。生命は断絶と再生をくりかえし循環する。生き絶えたものは新しい息吹となり、生きるものは絶命までの保管の姿となる。光は影を孕み、影は光を与える。」

俺が言葉を発すると同時に、ダナエの髪が逆立ち、アテネの肢体が白く輝く。
ふたりは一糸まとわず、俺に覆われ、その肉体は形態をとどめずにに軟化し一つになっていく。

「天を突き刺す先鋭の塔となり地表を打ち抜く。天を破り、地を裂いた我々は宙を抜け、太陽と月にあたり垂線上に我々は立ち上がった!最後のきっかけを果たすべく我々は最後のことばを歌にする。」

歌は高らかに歌い上げられその響きが空間を満たし、揺籃のときを迎えた。

「生命の始まりと終わり一つの極まる局部点で等率し、深遠の安定を求め、我々は眠る。」
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