フラミンゴの壁
第6章
仕事帰り、会社の前に郵便配達の男がひとり立っていた。
顔を覆うように深く帽子をかぶり、夜の薄暗い帳のなかに溶け込んで不気味な風貌をしていた。

「河合さまですね。」

郵便配達の男がぼそっと呟くように小声で言う。
その声は枯れたような小声だった。

自分の名前を呼ばれた俺は、郵便配達の顔を覗き込んだ。

男は骨に皮がついて骨格が浮き出た青白い顔をしていた。
視線を定め、一点を見つめている男の眼球が見えた。

郵便配達の男が俺に手紙を差し出した。

どう見ても、二日前から届いている俺からの手紙だった。
しかも、すでに開封されていた。

「おまえの手紙だ。この手紙にはこう書かれている。明日のおるは危険な目に合う。それは地球規模の危険。空から槍が飛んできたり、涙ですべてが洗い流され世界が消えてなくなりそうにもなるだ
ろう。」

男は手紙を読み終えたらしい、そのまま黙っている。

「それだけ?何が?手紙の内容が?なんだよ、お前!いたずらもすぎるぜ。お前、どこの局員だよ。いまから警察にフシンシャとして連れて行くぜ。ほかの手紙もお前の仕業だろ、俺は迷惑してんだよ。俺を追い回しやがって!」

俺が男の腕を掴もうとすると、男が慌てて、後ろに引き下がり口を開く。

「待て!河合さん、あんたが僕に触れるとあんたは殺人者になってしまう。あんたに触られると僕のカラダか花火のように炸裂するきっかけをつくることになるんだ。さわらないでくれっ、僕は死にたくない。」

「何言ってんだ、こっちにこい!」

俺は郵便配達夫の骨だけの細い腕を掴んだ。
その瞬間、俺の影が背中から俺を追い抜き、後ろに大きな光源があるのを感じた。
後ろを振り向くと、男は光の粒に弾けカラダが次々に閃光となっていた。

「うっあぁ」

俺は目の前に起こっている不可解な出来事に変な悲鳴をあげた。

「男がだから触るなって言ったのに、君がきっかけによって時空を衝突させるから・・・」

そう言い残し、男はわずかな閃光で放曲線を描きながら細くなり消えてしまった。

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