優しい悪魔−マキコと和夫−

明るくなった時に、おまわりさんが来て“どうしたのか”と聞かれた。

「死にたいんです。」

正直に答えたが、補導され、両親が迎えに来ただけだ。

誰にも、和夫の苦しみはわからなかった。

誰も和夫を助けてはくれなかったのだ。

それから和夫の精神世界は、複雑骨折したように更にひどくなった。

和夫は、毎晩ネットを見ている。

(もっと刺激的なモノを。もっと、もっと……。でないと眠れない。)

病院からは睡眠薬をもらっていた。


< 27 / 78 >

この作品をシェア

pagetop