狐と兎
キルシュを無視して談話を続ける2人。キルシュが入る隙はありませんでした。

どれだけ話し掛けても2人にはキルシュの声は届いていないようでした。


「ところでこの子は誰なんだい……?」


2～30分した所で、漸く老人はキルシュの事を聞き出しました。

待っていましたと言わんばかりにキルシュは勢い良く自己紹介を始めました。


「あたしはキルシュ!　ハルトの……恋人ですっ!」
「ハルトに恋人なんていたのか……知らなかったのう。ワシはカトラじゃ」


2人の会話から既にこの人がカトラだと言う事を知っていたキルシュでしたが、

改めて自己紹介をされると“ハルトの祖父”という事を実感しました。


「で、キルシュとやら。何か用かい?」


ハルトとは長々と話して疲れたからなのか、キルシュとは初対面だからなのか、

カトラは真っ先にキルシュが何しに来たのかを尋ねました。
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