狐と兎
キルシュは小屋中に響くような声を出しながら、驚きました。


「確か正に文武両道な人って言っていたから……うん、確かにこの人に聞いた方が早いよね」
「おう、何でも聞いてくれい! で、落とし穴だっけの……?」


キルシュは落とし穴の理由を先に知りたかったのですが、

カトラが凄い人物だと言う事に気付き、

そんなどうでも良いような質問はしちゃいけないような気分になりました。


「それはどうでも良いの! あたしが知りたいのは……あたしが知りたいのは……」


キルシュは僅かに言葉を震えさせました。聞くのが怖いと思ったのでしょう。

“ない”ときっぱり言われる事もあったからです。

それを見て気を使ったのか、ハルトが代わりにそれを聞きました。


「この呪いを解く方法、あるの?」


その言葉にカトラは楽しそうにしていた表情から一変。

キルシュには初めて見せる少し険しい表情をしました。
< 64 / 96 >

この作品をシェア

pagetop