狐と兎
何も言わないハルトにキルシュは更に苛立ちを隠せませんでした。


「そうだよね、ハルトってそういう人だもんね。
少しは分かってくれると思ったあたしがバカみたい。じゃあ勝手にすれば良いんだ!」


そのままキルシュは昨日病室から飛び出したのと同じように、小屋から飛び出して行きました。

その後ろ姿をただ眺めるカトラとハルト。

カトラはハルトに“彼女を追わなくて良いのか?”と尋ねます。

するとハルトは今まで誰にも見せた事ないような複雑な表情を浮かべ、そしてカトラに言いました。


「僕にも分からない。何故か今変な気分なんだ。体調は悪くないのに」


“だから追う事は出来ない”と。そのままハルトはその場に崩れました。


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