メイド in LOVE



その1ヶ月後
団長は心筋梗塞を起こし
急死した。




突然のことに
私はその事実を
理解出来なかった。


けれど…

棺桶の中に眠る
団長の顔を見て
私はようやく理解した。


団長は1年前から
心臓に異変を感じていたらしい


そう考えると
あの団長の言葉は
まるで遺言のように思えた。


「団長!団長ぉ!」


演舞団の皆が泣いている。

団長は愛され慕われていた。


どうして、私の大切な人たちは
私の前から居なくなって
しまうんだろう?



私はまた心の支えを失った。


舞台に上がって
踊れなくなってしまった。

踊ろうとすれば
団長の顔を思い出し
泣いてしまう。









舞台で踊れない踊り子は
演舞団には必要ない。


私は演舞団を
出ていくことになった。


演舞団の皆は
私を惜しんだけれど
もぅ私は踊るつもりはなかった。







演舞団を止めてすぐに
借金取りがまた私を
追いかけるようになった。


私は団長が
演舞団に入ってくれ、と
頼んだ意味をようやく理解した。



……私を"守る"ため。




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