メイド in LOVE


「おい…大丈夫か?」


「…は、はい!大丈夫です」


「そうか。
ずっとうつ向いているから
気分が優れないのかと思ったぞ」


ずっとうつ向いてるのは
恥ずかしくて
貴方の顔が見れないから
なんですけど…


今はお屋敷の中に入って
レオンの書斎に向かっている。



「止まれ。」


「へ?」


レオンは
突然、私の足を止めた。


「顔を上げないと
壁にぶつかる。
今日からお前はココで働くんだ。
家の中を覚えないと
迷子になるぞ?
ほら…顔をあげろ」


くいっと私の顎に手をかけ
目線を絡めとるように
顔を上げさせる。


さらに顔を近づけ…

「せっかく綺麗な瞳を
持っているんだ。
うつ向いていると損だぞ?」


そう言って
また頭を優しく
撫でてくれた。


その優しさに
私は顔を上げて
レオンに微笑んで
歩き出した。


レオンも満足したようで
私を案内するように歩く。


書斎に着き
諸々の手続きを済ませ
仕事内容を説明してもらい
改めて家の中を案内してくれた


家の使用人がではない。
レオン自身がだ。



この人は何で
今日初めて会った私に
こんなに優しく
接してくれるんだろう?



高鳴る胸とは反対に
私の心は冷静になる。

もぅ、信じる人に
裏切られたくはない。




私はこの人を
どのくらい信頼すれば
良いんだろうか?





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