メイド in LOVE



諸々のことを終えると
夕食の時間になった。


「お前は俺と夕食を食べろ」

レオンの発言に私は驚く。


「あの…でも私は
もぅこの家の使用人です。
主人と一緒に
食事を取るわけにはいきません」


「お前の仕事は明日から始まる
だから、"明日から"使用人だ。
ならば、今日は
俺と一緒に夕食を取っても
構わないだろう。
それに、これは命令だ。」


屁理屈だと思ったけれど
命令と言われれば
従わなければならない。


……"命令"か。
なんだか嫌な響きだな。


でも、そう思うのは
間違ってるのかもしれない。

これから
私はレオンの使用人に
なるんだから…。



その後
これまた豪華な夕食を取り
レオンは私をとある部屋に
案内した。




「ココをお前の部屋として使え
身の回りの物は揃えておいた。
何か不自由があれば呼べ。
俺の部屋はこの階の
一番右奥の部屋だ。」


そう言って
さっさと出ていこうとする
レオンを慌てて呼び止める。


「こんなに広い部屋を
与えてもらって
良いのでしょうか?」


「気にするな。
この家のメイドの部屋は
みんなこの広さだ。

今日はいろいろあって
疲れただろう?
明日からはメイドとして
働いてもらうんだ。
早く休んで疲れを癒せ。
じゃあな…おやすみ」


バタン


「…おやすみなさい」

閉まったドアに向かって
静かに呟く。


おやすみ、と誰かと声を
掛け合うことさえ久しぶりで
なんだかまた泣きそうに
なってしまった。




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