メイド in LOVE
近くて遠い存在



私はレオン様の部屋を出る時に
命じられたことを
もぅ一度、思い返した。



―――――


「レオン様の仰りたいことは
分かりました。」


「なら、良い。……カイル」


「何でしょうか?」


「リザから一通り話は聞いたが
父親が借金を作った後の生活は
どうしていたんだろうな?」


「……レオン様。」


「分かっている。
あまりメイドに踏み込むな
と言いたいんだろう?」


「…はい。」


「…だがな、俺は
リザのことが気になるんだ。

何故だか分からないんだが
リザのことが知りたい。
そんな欲望が胸の中にある。」


「…………。」


「だから、お前に頼む。
リザの3年間の過去を
調べてくれないか?」


「私は良いですが…
レオン様は
本当によろしいんですか?
…どんな過去でも
私は知りませんよ?」




"どんな過去"でもか…



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