メイド in LOVE


「確かに…そうだな。
生きるために身を売って
生活費を稼いでいる者などが
あの地域では特に多い…

だが、どんな過去でも構わない。
俺が勝手に知りたいと
望んでいるのだ。
どんな過去でも受け止める。」


真っ直ぐに答えるレオン様の
お言葉に私は反論など出来ない。



「…分かりました。
主人の命令通りに致します。」


一度、頭を下げて
部屋を後にする。



レオン様が
それほどの気持ちを
持っていたとは…


意外、と言えば
叱られてしまいそうだが

とても意外だった。


幼い頃から
どこか客観的な遠い目線で
周りを見ていた彼が

初めて近くで彼女を
見つめようとしている。



レオン様に自覚は無いようだが

あれは"恋"をしている。


不思議な魅力を持った
リザという少女に。


目を閉じながら
私はリザのあの真剣な表情を
思い出していた。

瞼の裏に焼き付いたように
その残像はなかなか消えなかった



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