お化け屋敷
「田中さん、あれから元気そうで良かったよ。」



「あぁ。確か吉田君?と結婚したとか。時間の流れは早いですね~。」




「そうだな。と言う事はお化け屋敷協会を作って8年か。8年前俊祐君だったかな?あの少年がこの計画を言い出さなければこの協会は無かった。」



「そうですね。でも、梨花さんの気持ちを元に戻すのと、梨花さんに会いたいがために神様であるあなたに意見するんですもの愛は素晴らしいですね。それに、この協会を作ってくれたら自分を地獄に落とそうがどうしようが構わないっていうからよほど田中さんの事を愛していらしたのね。」




「確かにな・・。始めは、あの少年が目標を達成できたらもうこの協会は終わるつもりでいたが・・・案外人間にとっていいものだったから続いてしまったな。」



と少し微笑みながら言う。



「この8年間。人のいろいろな感情を見てきましたね。でも、お化け屋敷協会に参加した人は、皆満ち足りた思いで成仏してる事が私は嬉しいです。この協会を作って正解でしたね。」



「あぁ。あの少年には感謝しないとな。あの少年も、いつか、田中さんと会えるといいな。」




「大丈夫ですよ。人間の愛の力は奇跡をも生み出します。必ず会えますよ。それが、異性に対する愛じゃなくても友情だったり、家族愛だったりとしても・・。」



「そうですね。じゃあ、明日牧野さんに送る幽霊のデータをパソコンに打ち込んでから僕は休むとしますか。」




そう言い鈴木健一、もとい神様はお茶を一口飲みまた作業を始めた。
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