*  翼をください   * ー俺様柏原の不器用Loveー

「私は、あんたを一生許さない。」


静かに話し始めた私を、真剣な眼差しで見つめる父に、話を続ける。


「きっと、あんたから受けた、心の傷は一生消えないと思う。」


一呼吸置いてから、私はさらに続けた。


「だけど、この世に生れて来られたのは、あんたのおかげだし、今は心から大切だって思える人がいるから・・・。」


そう言って、隣に立つ柏原を見上げる。


驚いて固まる柏原が、あまりにも想像通りのリアクションだったから、

少し笑えて心が穏やかになっていくのが分かった。



「だから、残りの一発は、保留にしておく。」


「―えっ?」


私の言葉に、覚悟を決めていた父が、困惑の表情で聞き返した。


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