プラネタリウム ―流れ星に願う叶わぬ願い―
プラネタリウムから出ると当たり前のように空を見上げる。






「凄いな……。家の方じゃこんなに見えないぞ」
「星が綺麗でこの場所を選んだんですよ。周りに建物がないから光もないですし」




「……綺麗ね、音菜」
「うん」



おじさんが勇二の父親と話していると、おばさんが声をかけてきた。






「気に入ってるの?ここ」
「うん……。おばさん、あのね」
「あの家、売ろうかしらね……」
「え……?」
「音菜は勇二くんと一緒に暮らしていきたいのよね?これから先、ずっと」
「うん。……勇二と一緒に暮らしていきたい。おばさん達には感謝してるけど、やっぱり一緒にいる『家族』が欲しい」
「そう……ごめんね、音菜を置いてアメリカに行ってしまって」
「ううん。感謝してるよ、日本に残ることを許してくれて……。おかげで勇二に出会えたんだから」
「そうね、人の出会いは偶然から始まるから」
「偶然……」






思えば、勇二と出会えたのも連に出会えたのも優香に出会えたのも
全てが偶然で、友達になれたのも偶然。





全てが奇跡なんだ――
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