プラネタリウム ―流れ星に願う叶わぬ願い―

喫茶店

気付けば時計はもうすぐ3時を指していた。


「そろそろ、行こう」



音菜は返事をするわけでもなく、ただ勇二の手に自分の手を絡めてきた。それが、音菜の「行こう」という意味だった。



音菜達が来た時は少し混んでいた。





「やっときたー。本木くん、水沢さん」
「ごめん」
「じゃー、本木達は調理室で出来たやつもらってきて。マスクと三角巾持って来たよな?」
「おぅ。音菜行こう」



来たときと同じように音菜は勇二の手を握る。





「そうだ、水沢さん!」




突然声をかけられ、少し驚いていると





「水沢さんの小説、人気だよ」





そう、笑顔で言うのは高野 詩織。




何も言えずに立っていた音菜の代わりに勇二が返事した。



「早く、戻れよ。詩織」
「戻るわよ、勇二。じゃあね、水沢さん」




音菜は二人が名前で呼び合っていることに驚きながらも頷いていた。もちろん、無意識で。


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