プラネタリウム ―流れ星に願う叶わぬ願い―
「音菜。なんだったの?」


下駄箱に勇二がいた。

「あの小説気に入ったみたいで、脚本書いてほしいんだって」
「作成部の関係者か。名前聞いた?」
「うん。桜庭一樹って言ってた」
「副部長か」









いつものように手を差し出す勇二。そしてそれに応える音菜。







何にも変わらない。









後夜祭の一番の見所は全員参加の踊り。






「踊るよ」


音菜はぎこちない踊り。


「音菜。最高ー」




勇二は華麗に踊る。周りにいる女の子達が勇二を見る。






「音菜。音菜?」
「何?」







1回目の踊りが終わったらしい。後、2回目あるけど、勇二は気を使ってくれた。






「ちょっと抜ける?」
「うん」





小声で言う二人。








抜けるって言っても、いる場所が校内であることは変わらない。
二人は裏庭に来ていた。









「やっぱり綺麗だな」



抜け出しても、やることは星を見ること。






「キラキラひかる
お空の星よ」
















きらきら星。


















勇二が『星に願いを』を気に入っているように音菜は『きらきら星』が好き。










「明日は学校休みか……。丘の上行く?」




勇二から久しぶりに聞いた場所。


「うん。もっと星見れるかな」
「見れるよ。戻ろっか」






二人が戻った時、花火打ち上げの時間だった。




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