happyマジック

しとしとと降る冬の雨は冷たくて、歩きながら何度も身震いする。



この雨が雪だったらいいのに。



そしたらこの寒さもここまで辛くないのにな。



最近温暖化のせいかあんまり雪が積もるのをみてない気がする。



「あれ?裕城?」



学校の玄関に見慣れた姿。



それは隣の家の双子の片割れだった。



急に降り出した雨にも動揺することなく傘を広げようとする直前だった。



「裕城も補習?」



私は小走りで駆け寄る。



「補習?そんなのこの時期にあんの?」



柔らかな王子スマイルで裕城が笑う。



この笑顔が、私はあんまり好きじゃない。



ほとんどの女子はこの笑顔に憧れてるけど、
裕城の本当の笑顔をしょっちゅう見てる私には嘘くさすぎる。



ホントはニコニコ愛想ふりまくキャラじゃないのに。



高校入ってからだっけ?



裕城が不自然に笑うようになったの。



「うん。忍が受けてるよ」



「へえ。あいつってそこまでバカだったんだ」



あ、不機嫌になった。



裕城は忍の話になるとすく不機嫌になる。



何でそこまで相性が合わないんだろう。




< 33 / 111 >

この作品をシェア

pagetop