この手で紡ぐ神の欠片



  *

冬の朝は、
鋭利で優しい。

「ふぁあ――」

欠伸で吸い込んだ空気が、
体の中に通った。


午前7時多分30分。


学校への道を、歩く。


…今日は菜生がいないなぁ。
待ち合わせせずとも
会ったりするんだけど。

まぁ――。

私は首筋に手を当てた。
何気ない仕草だが、
冷たい手が
血の流れる首に温められた。

――良いか、うん。


スーツ姿の男性、
どこかの学校の制服をきた人。
すれ違う。


たまにそれが、

ひどく悲しくなる時がある。



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