この手で紡ぐ神の欠片



教会の上、
春の明るい水色の下。
白い翼を生やした
金色のウェーブ掛かった髪を持つ少女がいた。
彼女は脇に2冊の本を抱えていた。

彼女は紛れもない天使で
うふふ、と笑い
青い瞳を細めた。

天使の白い両肩には、
正反対の色をした
2羽のカラスがとまっている。


彼女の唇から、
唄うような声が聞こえた。



「その手で紡いだのは
神の力などではなく、
その欠片でしかなかった。
だからこそ
彼女たちの手は永遠を掴んだ。
生まれ変わっても、
彼女たちは恋をした。

その恋は――

神でもなく、
自身たちに誓って
末永く続くだろう」




その下、
赤い十字架が刻まれている新婦と新郎は――

高く、次の幸せに繋がるブーケを投げた。



そして、

顔を見合わせて微笑んだ。







傷跡は、優しさに。


その恋は永遠を唄う。






   ‐end‐



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