Anniversary

「なによ、もうー!! 仮にも初対面のヒトに向かって『ウルサイ』って紹介の仕方はないでしょうっ!? フツー教師がそゆこと言うー!? 信じらんなーいっっ!!」

「おまえ……いま、自らそれを証明してるぞ……?」

「むぁ!? な、なんだとーうっ……!!」


 ―――ぶはっ……!


 私が目を剥(む)いて更なる反論をしようと息を吸い込んだ、その一瞬の隙に、差し挟まれたそれは。

 件の彼の、吹き出した声。

(わ、笑われたーっっ……!!)

 よりにもよって、こんな綺麗で素敵でカッコイイ人に……!

 しかも、めっちゃくちゃ“堪えきれません!”ってカオされてるし……!!

 あまりのショックで、そのままぱーっと顔がユデタコ状態に赤くなっていくのが解る。

 でも、自分がそんなにもブスな顔をしてるって解っているのに……普通にしてた時よりもずっと幼くなった彼の笑顔から目が離せず……だから再び硬直したまま、私は自分のブスなユデタコ顔をボーッと向けたままで、見惚れて彼を凝視しているしか出来ないでいた。

 そんな私に向かって、にこやかに彼は言う。


「…それ、運ぶん?」


「え……?」


 一瞬……咄嗟に何を言われたのかが、わからなかった。

 その指差された先には……さっきからずっと抱えたままでいた、私の腕の中の天体望遠鏡。


「オレもこの後、ついでに観測会参加させてもらうことになってるから……運ぶモンとかあれば、手伝うで? 1人で準備するんじゃ大変やろ?」

 ようやくそこで、私のトロい頭が言われた言葉の意味を理解してくれるも……その時には既に、笑顔で彼が言いながら、コチラへと歩み寄ってきているところ、で、あり……、

 ―――思わずズザッと、反射的に半歩、後ずさってしまった。

「いっ…いえ、そんなっ……!! 大丈夫です、1人で運べますからっ……!!」

 真っ赤になったまま両手をブンッと大きく振り振り、ドキドキしながら近付く彼を押し止(とど)めるように、そう、告げた、

 ―――途端。
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