小さな約束
最後に光流の母親と父親が入ってきた。
光流の母親は少し涙ぐみながら言った。
「みんな心配してくれてありがとう。光流の手術は無事終わったわ」
「よかった…」
一瞬にして緊張の糸が切れ、その場に座りこむ。
そうして始めて自分がこんなに緊張していたことを知る。
「よかった…よかったよ…」
芽依は少し泣いていた。
「芽依、頑張ったな」
「うんっ」
光流の手術が終わったことで病室はゆったりとしたムードが漂っていた。
でも俺は本音を言うと光流には治ってほしくなかった。
その思いは小さく胸に留めておくことにした。