隣室303号室
朝日がサンサンと、室内を照らしている。

時計の針が指している時間は、6:30。


・・・・めずらし。



「う・・・・・」


朝日を浴びながら、私はのそりと起き上がった。


アタマが、重い。


軽く疼く頭を抑えて、冷蔵庫へと近寄った。




「う―・・・ん」



寝ぼけ眼で、冷蔵庫の中をキッと睨む。


――そのとき、ひんやりとした冷気が、頬を掠めた。






「おーい!!あきらー!」



飲みかけのポカリが、零れそうになる。




は、はや。

ていうか、一緒に行くとか言ったっけ

・・・・言ってない;





「起きてるかー?」



出ないと、五月蝿そう。


零れたポカリを拭って、私は扉を開けた。




「はよ、あきら!やっと起きたか」

「・・・・はよ。さっき起きたばっかし」



笑いながら、よっと片手を挙げる。



バカみたいに元気いいんだなぁ。

私は感心の眼差しで、彼を見つめた。






「俺の顔、何か付いてる?」



「わぁっ!!!」



顔、近いッ!!!!



「うぉっ!!!??」






思わず後ずさりしたら、
段差で、

体が後ろに傾いた。




だってさ、顔と顔の距離が10ぐらいしかなかったら、誰だって、びっくりするでしょ。




髪がふっと床に着いたとき、体がぐんっと引っ張られた。



「あ・・・・」




気付いたときには、彼の腕の中。










・・・・だったら、恋の始まりとかになるんだろう。


人生そんなに、甘くなかった。




「あ・・・・・わぁああ!!」


彼は私を起こしきれなかったらしく、彼も一緒に傾いた。
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