隣室303号室
「って・・・―」

「だ、大丈夫?」



「大丈夫大丈夫。俺より、あきらは大丈夫か?」


言いながら、彼は私の上からゆっくりと退いた。
続くようにして、私も起き上がる。



「大丈夫―――」




ずきん。

と、頭が痛んだ。



「・・・ほんとに大丈夫か?」

「何でもないよ。ただ、朝の頭痛が続いただけ」


そう言って、立ち上がった。

「外で待ってて。急いで用意してくるから」

「おぉ」



数秒後、扉が閉まる音がした。

急いで着替えをすませて、玄関に向かう。




「ごめん。行こっか」

「おうっ!」






私は、彼に対して普通に接していた。


彼―――佐々木太陽―――は、思ってた以上に、バカ真面目だったらしい。




「なぁ知ってたか?」

「なにを?」




「俺さ、あきらが通ってる高校の理事長・・・・てか、爺ちゃんの孫なんだ」


「・・・・・・・え?」




―バカ真面目じゃない。
彼は、とんでもない人だった。
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