さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 あたしは尚志さんの出してくれたコーヒーを飲む。

 彼もあたしの斜め前のソファに腰掛けていた。

「この前、アルバム見てごめんなさい」

「俺も大人気ない対応をして悪かったよ。子供のときの写真って恥ずかしいからさ」

「かわいかったのに」

「だから恥ずかしいんだよ。かわいいって言われても複雑っていうか」

 彼は頬を赤らめて苦笑いを浮かべていた。

「ごめんなさい」

「まあ、いいよ。女の子に間違えられていたのはしょっちゅうだし」

 彼は肩をすくめていた。

「本、見に行く?」

 あたしは差し出されたコーヒーを全て飲み終える。

 そのタイミングを待っていたかのように尚志さんが立ち上がった。

 あたしたちは階段を上がり、右手の一番奥の部屋の前に行く。
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