さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 初夏の比較的強い日差しが建物の中を照らし出す。

 あたしはそこに立っていた人を見て、あのときの人を思い出していた。

 千春の家で見た、水絵さんと一緒に微笑んでいた人だった。

「千春のお父さん?」

 彼は目を丸めていた。

「君が京香ちゃんか」

 あたしは頷く。

 彼の話し方はどこか尚志さんに似ていると思った。

 あたしは彼にどう告げるか頭の中で必死に模索していた。

「ここでは美咲でお願いします」

 木下さんの言葉に千春のお父さんは苦笑いを浮かべる。

「相変わらず君は手厳しいな」

 二人は知り合いだったのだろうか。
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