さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「父親が使っている部屋は?」

 彼は千春の部屋を出ると、そう口にした。

 あたしは彼がいつも使っている奥の部屋を指差す。

「ありがとう」

 彼はそう言い残すと、奥の部屋に消えていこうとした。

「あの」

 あたしは何を期待しているのだろう。

 違う。

 別に何か期待していたわけじゃなくて

 ただ普通に暑いから、そう問いかけただけだ。

 自分にそう言い聞かせる。

「喉、渇きませんか?」

「別に」

 彼はそのまま部屋の中に入っていこうとした。

 彼の動きが止まる。






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