天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「アハハハ!すべては、王の為に!」

天井を仰ぎながら、笑う麗華の後ろに、1人の男子学生が立った。

「その王が、貴様らを無用と判断なされた」

「うん?」

両手を下げると、麗華は振り返った。

「しかし、その盾が…赤の王、もしくは天空の女神のものになったならば、少々厄介になるかもしれない」

眼鏡を人差し指で押さえながら、顎を引き、上目遣いで麗華を見ている学生は、刈谷雄大。

「よって…貴様らを排除する!」

「お、お前は!」

麗華が体の向きを、刈谷に向けた瞬間、全身が燃え上がった。

「我が愛しき炎の淑女の名において…」

刈谷は顎を上げ、見下すような格好になった。

「オウパーツを舐めるな!」

麗華を包んでいた炎は消え、学生服も燃えてはいなかった。

「成る程な…。噂に聞いた通りか」

刈谷は、フンと鼻を鳴らした。

「貴様!?炎の魔法使いか!」

麗華は、仮面のオウパーツを発動させながら、刈谷に近づいてくる。

「心外だな」

刈谷は眉を寄せると、右腕を突きだしながら、麗華に向かって歩き出した。

「まあ〜それだけ、上手く人間になれているということかな」

そして、発動中の仮面のオウパーツに触れた。

「馬鹿目!」

麗華は、にやりと笑った。

「ほお〜」

刈谷は一歩下がり、塵になった右腕を見つめた。

「成る程な」

オウパーツの効果を体験し、刈谷が頷くと、なくなった右腕の付け根から炎が噴き出し、揺らめきながら腕の形になっていく。

「お、お前は、人間ではないのか!」

今度は、麗華が一歩下がった。

「フッ」

刈谷は、元通りになった右手の人差し指で眼鏡を上げると、ギロリと仮面のオウパーツを睨んだ。

そして、おもむろに話し出した。

「確かに、オウパーツ自体を破壊するのは不可能のようだ。全身をオウパーツで包まれていたら、始末できなかっただろうな」

「ま、まるで、今なら何とかできるような言い方だな!先程経験しただろうが!オウパーツ以外も、炎で焼けなかったことを!」
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