天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「ア、アルテミア〜!」

その頃、人間もどきが占拠した九州地方内にも、異変が起きていた。

アルテミアに擬態している人間もどき達が、襲われていたのだ。

本物ではないとはいえ、アルテミアの能力をコピーした人間もどきを次々に倒し、犯し…喰らうものがいたのだ。

「あんた!何やってんのよ」

人間もどきの母親である女は異変に気付き、襲われている現場に駆けつけたところ…異様なる光景を目にした。

アルテミアもどきに腰を振りながら、噛み付いて肉を喰らう…父親である男の姿を。

「アルテミア!」

男は腰を抜くと、アルテミアもどきから離れ、女を睨んだ。

足下で犯されていたアルテミアもどきは、顔が半分なかった。普通ならば、死んでいるはずであるが…全身を痙攣させると、子供を産んだ。

その時、父親である男の行動を近くで見ていた人間もどき達は突然、真似をし出したのである。

つまり、襲い犯しながら、喰らうである。

「クッ」

周りで始まった行為で言うよりも争いは、押し倒したものを犯し、喰らうという弱肉強食の世界のようになっていた。

女は一瞬で、止められないことを悟った。

人間もどき達は普通の人間を喰らい滅ぼして、新たなる人類になることが目的だった。

しかし、彼らの食欲と性欲は予想をこえていた。

彼らは喰らうべき人間がいなくなれは、共食いを始めるのだ。

それは飽くなき…仲間を増やすという本能に従った結果だった。

いずれ…世界中の人間がいなくなった時に、起こるであろう現象であったが…九州という狭い土地に集まり、防衛軍の活躍により迅速に民衆が避難した為に、餌がなくなり…彼らは早くも飽和状態を迎えたのだ。

仲間内で喰らいながらも、新たに数人の子供を産む。しかし、その子供達もすぐに大きくなり、同じことを繰り返す。

その無限のループはまるで…地獄絵図の餓鬼道を思わせた。

「この子達を、他所の土地に移動させないと」

人間もどきより知能が高い女は、顔をしかめた。
< 1,142 / 1,188 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop