天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「抵抗はやめて…俺のものになれ!」

中西は再び、手を伸ばした。

その時、香坂が叫んだ。

「緑!」

「は、はい!」

下を覗いていた緑は、突然名前を呼ばれ、驚いた。

「お前の木刀を投げろ!」

「え!」

「早くしろ!」

香坂の指示に、緑は屋上を囲む金網の上から、木刀を投げた。

「何だ?」

香坂の声に、カレンが金網の方に近づく。

「!」

輝とじゃれていた浩也も、撫でる手を止めた。

屋上から落とされた木刀は、九鬼と香坂のちょうど真ん中の地面に突き刺さった。

「九鬼!」

香坂の叫びに、九鬼は木刀を見た。

と同時に横に飛んだ。

「悪あがきを!」

中西の姿が消えた。

九鬼が木刀を掴むよりも速く、木刀のそばに移動した。

「香坂アタック!」

その動きを詠んでいた香坂の体当たりが、中西のバランスを崩した。

「く!」

痛みを我慢して、木刀を掴んだ九鬼は、香坂の奇襲で注意が自分からそれた中西に向って、木刀を振るった。

目的は、一つ。

「しまった!」

中西の顔から、眼鏡が外れた。



「真弓!」

金網を掴んで、下を見たカレンは、乙女ブラックと戦う九鬼に驚いた。

眼鏡は宙を舞い、地面に落ちた。

「どけ!」

高坂に膝蹴りを叩き込みと、中西は眼鏡に向かって走る。

九鬼も木刀を捨てると、走り出した。

同時に、2人が手を伸ばす。

しかし、2人よりも速く…眼鏡を拾い上げた者がいた。

「お、お前は!?」

絶句する中西の前に、浩也が立っていた。眼鏡を持って。

浩也は中西を見ることなく、九鬼に近づき…眼鏡を差し出した。

「はい」

「あ、ありがとう」

九鬼は目を見開いたまま、素直に受け取った。

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