天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「まったく!あたしは、た・だ・の!女子高生でいたいだけなのにい〜!」

学校からの帰宅途中、竜田桃子は、二車線はある橋の真ん中で立ち止まり、地団駄を踏んでいた。

「こんなものがあるからよ」

茶色の学生鞄から取り出したのは、ピンクの乙女ケース。

ぎゅっと握り締めると、橋の下を流れる川に投げ捨てようとした。

その時、突然…橋が揺れた。

「え!」

明菜はバランスを崩し、思わず橋の上で尻餅をついた。

その揺れは一瞬だったが、橋の上にいた桃子には、恐怖でしかない。

凄まじい衝撃は、橋の上を通る車にも影響を与え、何台か追突事故を起こしていた。

その惨劇を見て、桃子は考えを改めた。

「よ、世の中…物騒よね」

乙女ソルジャーの力を、防犯の為に残しておこうと…乙女ケースを鞄に戻した。

そんな橋の下では、1つの戦いが終わっていた。



アルテミアの女神の一撃を喰らう数分前…人ならざる者である木岐が、確信の気持ちを声に出していた。

「私は、確かめなければならなかった…。女神の真実を!そして、今…確信した!天空の女神は、この世界では…長時間動けない!」

歓喜の声を上げた木岐は、その数秒…この世から消えた。


その戦いの場に導いた今井友美は、おもむろに携帯をとり、電話をかけた。

「間違いありません…」

友美は、アルテミアと絶叫する声を聞きながら、頷いた。

「天空の女神は…この世界では、本来の力を発揮できません」





薄汚れた空気の中で、息をする人間達。

帰り道を急ぐ人波は、同じ方向へ進んでいくが…魚のように統一感はない。

ただ…無意識に委ねる程…人間は気楽ではないのだ。

どこかで…何かを気にしている。

そんな群れを壊すことは簡単だった。

ほんの少しの雨が振るだけで…人々は散り散りになった。

そう…ほんの少しの雨。

涙もそうだろ。

思い切り流した涙よりも、一筋の涙の方が重いときがある。

傘を差す程でもない。

そんな少しの雨が降る日。

僕は、あの娘にあった。

「赤星君?」

あの頃と変わらない笑顔だけをつくって…。



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