天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「核…ミサイル」

ティアナの驚く顔を見て、振り返ると同時に、ジャスティンとクラークの目に巨大なきのこ雲が映った。

その姿を見て、クラークは思わず呟いた。

震源地は、ティアナ達がいる場所から、海を越えた…実世界でいうフランスの南部だった。

「核ミサイル!?」

クラークの言葉に、ティアナは唖然とした。

「ば、馬鹿な!そんなものを開発していたのか!あれは、禁呪よりも危険なもの!」

ティアナはそこまで言って、はっとした。

「そんなものを作る知識も、イメージもなかったはずだ!」

ティアナが知る限り…十字軍の科学者でも、核兵器の開発する能力はないはずだった。

「核って何です!」

きのこ雲の禍々しい姿に、異様な悪意を感じたジャスティンが、ティアナに訊いた。

「そ、それは…」

答えようとして、ティアナはクラークの呟きを思い出した。

同じ十字軍士官学校の生徒であるジャスティンが知らずに、クラークは知っていた。

「あなた…。何か知ってるの?」

ティアナは、クラークに一歩近づいた。

思わず顔を剃らしてしまったクラークははっとして、急いで顔をティアナに向けた。

「知りません…」

と、完全に否定しょうとしたが、ティアナの目を見て、言葉を続けてしまった。

「詳しくは…」

口にしてから、クラークは後悔した。しかし、爆弾の落ちる場所が目的地と違っていた。

普通に魔界に向け撃っても、魔界を囲む結界に阻まれるだけだ。

だからこそ、魔界の入り口を通って、爆発する予定になっていた。

それなのに、明らかに軌道が違っていた。

(ミスか?)

しかし、そんなことを考えている場合ではなかった。

核ミサイルは、落ちたのだ。

人間がいる地域に。


「どうして…あんな恐ろしい兵器を!十字軍には、作る技術はなかったはずよ」

ティアナの言葉に、クラークは頷き、

「そうです。科学は一般的には、信じられていません。しかし、研究がされていない訳ではありませんでした。戦う為の力を得る為に、ずっと研究されていたのです」

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