天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「馬鹿どもが…」

全員に下された…本部からの脱出命令をきき、ゲイルは顔をしかめた。

目の前には、核ミサイルがずらりと並んでいた。

魔力を使わずに、科学のみで作られたミサイルデッキは、専用の発電機を設置している為に、消えることなく活動を続けていた。

各種武器は使えないが、核ミサイルだけが発射可能であった。

「これを置いていくつもりか?」

ゲイルは、核ミサイルを見上げた。

水の騎士団向けて、発射できたが…爆心地が近すぎた。それに、発射プログラムも書き換えないといけなかった。

ゲイルは舌打ちした。

「それにしても…ポセイドンめが!王の計画を、無視するつもりか…」



「生ぬるい…」

海面から姿を見せた…赤い甲冑に身を包んだ3メートルの魔神。彼の名は、ポセイドン。元々…すべての海の神であった。そして、先代の魔王レイとは…ほぼ同等の力を持ち、対等に近い権力を誇っていた。

ライが即位してからは、その地位は下落したが、力は衰えてはいなかった。

「あのような人間の武器に、頼るとはな!」

ポセイドンが片手を横凪ぎに後方に振るうと、巨大な鎌が突然手に握られた。

すると、風が発生し、後ろの海面を駆け抜けると、巨大な波が発生し、元老院があった大陸まで押し寄せた。

「フン!」

ポセイドンが上陸すると、海岸沿いに地震が起こった。


「ポセイドンだと!?」

クラークは、震える大地の上で何とかバランスを取りながら、絶句した。

「何て日だ…」

クラークは、巨大な津波がポセイドンの後ろにできた様子を見つめ、

「騎士団長に、次々に会うとは」

今日という日を呪った。



「地震!?」

ティアナとジャスティンも、地震とともに上陸した水の騎士団を確認していた。

「また…神レベルか」

ティアナが顔をしかめた瞬間、十字軍本部から数百人の兵士が飛び出してきた。

その手には、剣以外に、弓矢が握られていた。

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