天空のエトランゼ〜赤の王編〜
ポセイドンは、本部から飛び出してきた兵士達に気付いた。

「お前達は、手を出すな!」

周りにいる魔物達に命じると、ポセイドンは一歩前に出た。

それだけで、また地震が起きた。

兵士達の動きが止まり、バランスを崩す。

「弱いものいじめは、好かんからな」

ポセイドンは、手に持った鎌を振り上げた。


「うおおおっ!」

地震が止まると、兵士達は走り出した。

「待て!」

ティアナが兵士達の前に飛び出し、両手を広げた。

しかし、兵士達は止まらない。 何かに取り憑かれたように、血走った目をして、 ティアナの横を通り過ぎていく。

「相手は、神だ!無闇に立ち向かっても!」

ティアナは振り返り、離れていく兵士達の背中に叫んだ。

「先輩!」

ジャスティンが、ティアナに向かって叫んだ。

「!?」

ティアナの目に、鎌を振り上げたポセイドンの姿が映った。

「伏せて!」

ティアナの絶叫も、兵士達には届かなかった。

伏せたのは、ティアナとジャスティン、クラークだけだった。

「フン!」

ポセイドンが前に向かって、鎌を上から下へと振り下ろした。

次の瞬間、数百人の兵士の胸から上に一筋の赤い線が走った。

「え」

驚く兵士達は、自分の上半身がスライドして、地面に落ちていく感覚を味わった。

「ぎゃああ!」

痛みとともに、残った下半身から血が噴き上がった。

あっちこっちに出現した血の噴水は、数秒消えた。

ポセイドンが放った衝撃波は、兵士達を真っ二つにしただけではなく、その後方にある十字軍本部の建物も、切り裂いた。

数キロはある本部の建物が、スライドして…横に滑り落ちたのだ。

落ちた衝撃で発生した砂埃が一瞬、建物を隠した。

幸いにも、地下にある核ミサイルは真っ二つにはならなかった。

しかし、閉じていた発射口がスライドした為に、砂埃が治まった後…核ミサイルは太陽の下にさらされることになった。


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