天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「そうよね!」

九鬼の言葉に、嬉しそうに何度も頷き、

「それでこそ!生徒会長よ!」

涙すら流す刹那に、九鬼も力強く頷いた。


「はい!」









「茶番だな」

生徒会室から出て、廊下を歩く刹那と平行して歩く…ガラスの中の刹那が笑った。

「大体!生徒失踪の首謀者は、貴様自身だろが!」

ガラスの中の刹那の言葉に、刹那はフンと鼻を鳴らした。

「まあ〜いいわ」

ガラスの中の刹那は、肩をすくめ、

「茶番でも、あの体は魅力的だろ!あの体が、手に入れば!もう弱い人間の体なんか集めなくてもいい!闇と交わった体!素敵だわ〜」

ガラスの中で、うっとりとした表情を浮かべる刹那と違い、廊下を歩いていた刹那が突然足を止めて、うずくまりだした。

「どうしたの?」

ガラスの中の刹那が、驚いた。

「く!」

刹那は、スカートを少しめくり上げた。

「あらあ〜!今回は早いわね」

スカートの中から現れた膝が…腐っていた。

「もう〜取れるわねえ〜!でも!」

膝を確認していた刹那は、前を見た。

1人の女生徒が、前から歩いてくる。

「スペア発見!」

ガラスの中の刹那が、嬉しそうに叫んだ。

刹那もにやりと笑った。

「あいつの体を手に入れる前に〜!新品にかえますか!」

刹那は腐った膝を庇うことなく、女生徒に向かって走り出した。

「狩りの時間よ!」





「え?」

突然、向かってくる女の足が取れたのを見て、信じられたい事態に、女生徒は一瞬足を止めてしまった。

そして、こちらに向かって片足で襲いかかってくることに気付き、慌てて逃げようとした時には、すべてが遅かった。

「逃がさなあい」

後ろから、羽交い締めにされた。

女生徒はもがき、何とか逃れようと、後ろの人物を見た時、絶句した。

向かってくる女と、同じ顔をした女がいたからだ。

「頂きます」

後ろの女が微笑んだ瞬間、女生徒の足に激痛が走った。

しかし、悲鳴を上げることはできなかった。

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