天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「うん?」

ショッピングモールを背にして歩く美亜…いや、アルテミアの前に、誰かが立ちはだかった。

アルテミアの足を止め、前に立つ者を見つめた。

「どうして…」

アルテミアの向こうで、血塗れになりながらも、地面を這い、こちらの方に手を伸ばしながら、気を失っていくカレンの様子が見えた。

「どうしてだ!」

前に立つ者は、咆哮を上げた。次の瞬間、瞳が赤くなり、一気に魔力が上がる。

「赤星…」

アルテミアは、前に立つ者…赤星浩也から目をそらした。

「どうして!」

浩也の後ろから、回転する2つの物体が飛んで来た。そして、浩也が掴むと剣になった。

「ライトニングソード華烈火か…」

アルテミアは、浩也の手にある剣に目を細めた。

「うわあああ!」

剣を振り上げると、浩也はアルテミアに向かって飛翔した。

そして、そのまま…剣を振り下ろした。

「…」

しかし、アルテミアは動じることはなかった。

ただ…右手の人差し指を一本立てただけだった。

「!?」

その指に、ライトニングソード華烈火は吸い付くように向かっていく。そして、渾身
の一撃を…指先一本で止めた。

「今のお前では…あたしを倒せない」

絶句に浩也に、悲しく微笑みかけると、アルテミアは左手を握り締め、拳を浩也の鳩尾に叩き込んだ。

「うぐっ!」

浩也の体が少し宙に浮いた後、そのまま頭から地面に激突した。

アルテミアの人差し指で止められたライトニングソード華烈火は分離すると、回転する2つの物体に戻った。そして…。

アルテミアは引いた拳を下に下ろすと、倒れている浩也の前で両手を広げて立つ女に、目を細めた。

「フレアか…」

それだけ言うと、アルテミアは背を向けて、歩き出した。

そのアルテミアの背中をしばし見つめた後、フレアは消え…チェンジ・ザ・ハートはどこかに消えていった。

残されたのは、地面に横たわる浩也だけ……ではなかった。

どこからか、1人の男が出てきて、去っていったアルテミアの方を凝視し、にやりと笑った。

「面白いな」
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