天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「何!?」

突然島全体が揺れた為に、高坂は転けそうになった。

「何だ…今のは?」

揺れは瞬間だけだったが、気持ちを動揺させるには十分だった。

「く!」

しかし、高坂は唇を噛み締めると、走り出した。

「早く合流しなければ!」



「く!」

震源地となるアルテミアと浩也の近くまで迫っていた九鬼は、地面の揺れよりも、2人から放たれた衝撃波に、吹き飛ばされていた。

咄嗟に腕を十字に組み、衝撃波から身を守ったが、数メートル後ろに下がっていた。

「今のは?」

目を凝らし、衝撃波が飛んできた先を見つめた。


「うわああ!」

ぶつかり合った2つの蹴りは、同じ威力ではなかった。

数秒後、押し返された浩也もまた吹っ飛んでいた。

「今のお前が、あたしに勝てるか」

地面に着地したアルテミアの耳に、拍手が飛び込んできた。

「素晴らしい」

拍手をしているのは、幾多だった。

衝撃波を一番近くで受けたはずなのに、平然としている幾多に、アルテミアは眉を寄せると、顎でそばに立つ者を示した。

「この悪趣味は、貴様のか?」

「悪趣味?」

幾多はわざと首を捻った後、フレアに目をやった。そして、目を見開き、

「それは、僕の式神のことかい?」

再び首を捻った。

「まどろっこしいな」

アルテミアの目が、赤く光る。

「おっと!それは、反則だよ」

幾多は、手で目を隠すと、下を向いた。

「無駄だ!」

さらに、アルテミアの瞳が光ろうとした時、フレアが襲いかかってきた。

「この偽者が!」

アルテミアが、迎え撃とうと拳を握り締めた。

「うおおおっ!」

すると、横合いから、浩也が突っ込んで来た。全身を真っ赤に燃やして。

「く、くそ!」

アルテミアは、フレアの攻撃を避けると、足をかけてバランスを崩させた。

「お母様!」

慌てる浩也に向けて、フレアの背中を蹴った。

「だ、大丈夫!」

フレアを受け止めた浩也の体が、さらに燃え上がる。
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