天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「何!?」

驚くアルテミアに、幾多が声をかけた。

「どうするの?このままでは、彼の体は魔力のメルトダウンを起こすよ」

「貴様!何の目的だ!」

アルテミアは、浩也とフレアの間にかかと落としを叩き込むと、2人を離した。

「大した目的ではないよ」

幾多は、肩をすくめ、

「ただ…彼に会いたいのさ」

何とかフレアを守ろうとする浩也を見つめ、嘲るように笑った。

「本当の彼にね」

「くそ!」

再びフレアから離された浩也は、右手を突きだした。

「来い!」

すると、回転する2つの物体がどこから飛んできた。

それを掴もうとしたが、アルテミアが横取りした。

「え!」

赤いジャケットから、黒のスーツ姿になったアルテミアは、チェンジ・ザ・ハートを掴み、浩也を睨み付けた。

「こいつ!」

拳をつくり、殴りかかってくる浩也を無視して、アルテミアはチェンジ・ザ・ハートを槍に変えると、後ろに向けて突きだした。

「え」

そのあまりの速さに、後ろにいた幾多は反応できなかった。

普通ならば、死んでいただろう。

しかし、そのアルテミアの動きを読んでいる者がいた。

「何の真似ですか?」

アルテミアは、後ろを見ずに言った。

「九鬼先輩」

「させない!」

乙女ブラックになった九鬼が、槍を受け止めていた。

「邪魔をしないで頂きたい!」

まだ美亜の姿をしているアルテミアは、本来の力を発揮していないが、モード・チェンジを使いこなすことにより、圧倒的な戦闘力を見せ付けていた。

また姿が変わったアルテミアが、気合いを入れると、槍を掴んでいる乙女ブラックもろとも持ち上げると、空中から襲いかかって来るフレアに叩き込んだ。

「な!」

受け身を取る余裕もなく、フレアとともに、九鬼は地面に激突した。

「!」

その様子を見て目を見開いた幾多は、初めて怯えたような表情を浮かべた。

「これが、天空の女神!?」

絶句する幾多に、アルテミアは首を横に振り、

「これくらいで怯えるな!殺すぞ」

ぎろっと睨んだ。

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