天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「すまないが…みんなは、合宿所に戻ってくれ」

と言うと、歩き出そうとする高坂を、輝が止めた。

「待って下さいよ。部長!意味がわかりません」

「そうか…そうだな」

高坂は足を止めて、フッと笑うと、4人に向き直り改めて言った。

「ここからは、俺の個人的な問題だ。だから、君達を巻き込む訳には行かない。だから…」

そう言うと、深々と頭を下げた。

「すまない」

「…」

4人の間に沈黙が流れたが、すぐに舞がそれを破った。一歩前に出て、

「あたしも行きますよ。部長1人では、心配ですから」

頭をかいた。

「まあ〜おれもいいぜ」

舞の声から、十六に戻った。

「ぼ、僕も…」

あまり力が入っていないが、輝も前に出た。

「行きます!」

そこだけ力強く言うと、輝は頷いて見せた。 自らを奮い立たす為に。

「私も行く。このまま、蚊帳の外なんて、堪えられない!」

打田は手甲をつけると、前に出た。

「う〜ん」

梨々香は悩んでいた。

しかし、もし高坂にバレた場合のことも、さやかは梨々香に命じていた。

(あいつは無茶をするはずだ。大して強くもないのにな…。その時は、サポートしてやってくれ)

その言葉を思い出した梨々香は、銃を握り締めると、

「あたしも行きます」

前に出た。

「有無」

高坂はただ頷いた。




同時刻。

隠密行動を取るはずだった忍者部隊は、結界を越えて数分後に、魔物の群れとぶつかってしまった。

3メートルはある蟷螂に似た魔物は、群れで襲いかかって来た。

さらに、巨大な蚊が血の臭いを嗅ぎ取って、上空から襲いかかって来た。

「お頭!」

忍者部隊の最後尾にいた初老の顎髭を生やした男に、最前線から戻った伝令が、戦況を伝えた。

「何!?昆虫系が多いだと!?」

魔物…特に魔神は、人間よりも進化の過程を進んでいると言われていた。

微生物から〜人間〜魔神を進化の過程とするならば、昆虫系は外れていた。




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