天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「お、お前達は!どうして僕を!」

浩也の魔力を感じ、人間である司令官達は震え上がった。

「な、何もしてないのに!よくも!」

浩也を覆う炎がまるで球体のようになり、爆発しょうとした時、風が吹いて来た。

「か、風だと!?」

自らの体だった灰が、巻き上がりながら、リンネはその風を発生させているものを探した。

風は、浩也の炎を煽ることなく、逆に押さえつけた。さらに、周りにいた忍者達をふっ飛ばした。

「お前は、人を殺してはいけない。どうしても、やむを得ない時は、あたしが殺そう」

風が止んだ時、浩也の前に立つ…1人の女がいた。

「それが…あたしの役目だ。例え…お前に怒られようとな」

フッと笑う女を見た瞬間、風にかき消されたはずのリンネが復活した。

「アルテミア!」

その声に、ふっ飛んで地面を転がっていた司令官が思わず、顔を上げた。

「て、天空の女神だ、だと!あり得ない」

他の忍者達もはっとして、すぐさま立ち上がると、戦闘体勢に入った。

「もういい!邪魔だ!」

リンネが、浩也とアルテミアに向かって一歩足を踏み出した瞬間、司令官と忍者達は燃え上がった。

「役立たずが!」

一瞬で燃え尽きた司令官や忍者達がいなくなったことで、合宿所の前には、3人しかいなくなった。

「な、何かあったの?」

外の異変に気付き、結界を出ようとした絵里香は、何かの力に邪魔されて出ることができなかった。

「これ以上…面倒をかけるな!」

アルテミアは合宿所の方を見ないで、前に立つリンネを睨んだ。

「お前とは、いつも…変な場所で会うな」

「それは、こっちの台詞よ」

リンネも睨み返した。

「お、お前だけは許さない!」

二人とは違う方向から、声がした。

「な!」

風で絡み取っていたはずの浩也の炎が、逆に巻き込み吸収すると…さらに威力を増し、テレポートより早く、アルテミアを追い越して、リンネに襲いかかった。

「なめるな!」

同じ炎の属性同士。リンネは相殺できると思っていた。

相手は、完全に目覚めていないのだから。

しかし、結界は違った。


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