天空のエトランゼ〜赤の王編〜
浩也のパンチを手で受け止めた瞬間、リンネは自らの炎が焼けるような感覚に、目を見開いた。

咄嗟の防衛本能が、リンネを回避させた。

手を払うと浩也とアルテミアの頭上を飛び越え、合宿所の横に着地した。

「な、何だ!今の熱さは」

絶句しているリンネの真横から、声がした。

「う、上野先生!大丈夫ですか!」

食堂から出れなかったので、合宿所の横の隙間から直接結界をこえた絵里香は、ボロボロになっているリンネに驚いた。

「よくもお母様を!お前のせいで、お母様は!あんなことに」

疾走する浩也の手に、いつのまにかライトニングソードが握られていた。

「うおおっ!」

突きの体勢で向かってくる浩也を見た瞬間、リンネはそばに来た絵里香に手を伸ばした。

「赤星君!そんなものを、先生に向けては…きゃ!」

軽く悲鳴を上げた絵里香を羽交い締めにすると、盾のように、浩也の方に向けた。

「さあ!殺せ!人間ごと!あたしをな!」

リンネは、にやりと笑った。

全身のどこかにあるコアを刺されない限り、リンネは死ぬことがない。

(人を殺せ!赤星浩一!)

「あ、赤星君!」

絵里香の姿は、怒りから浩也の目には映らない。

ライトニングソードは、胸元から背中までを貫通した。

「な、何!?」

リンネは目を見開いた。

ライトニングソードは、確かに貫通していた。

但し…リンネと絵里香ではなかった。

「お前は…人間を守る為に、この世界で戦っていた。そんな…お前が…」

ライトニングソードが突き刺さっていたのは、アルテミアだった。

「人を殺してはいけない。守れない命はあるだろう。救えなかった命もあるだろう…」

アルテミアの口から、血が流れた。それでも、アルテミアは浩也に微笑んだ。

「だけど…お前は奪っていけないんだ!赤星!」

アルテミアが叫んだ瞬間、口から血が大量に吐き出された。

「あああ…」

浩也のないはずの記憶が、同じようなことがあったことを思い出していた。



あの時も…アルテミアは笑っていた。

そうだ…笑っていた。

「ア、アルテミア!」

僕は、絶叫した。


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