姪は叔父さんに恋してる
私の尋問は、学校の校門をくぐる頃まで続いた。
先輩が否定すれば「嘘だ」の一点張りで。
よく先輩は怒り出さないな、と感心まで覚えたくらい。
こういう厄介な時に限って智之は現れないのだから、先輩にとってはいい迷惑だろう。
でも私の嫉妬はそれより上だと自負している。
「…ねえ八智絵、いい加減信じてくれないかい?
私は叔父さんに好意はない。
八智絵が好きだと知っているのに取ろうなんて思わないさ。」
「分かりませんよ…?
だって叔父さん、爽やかで優しくて気が利いてお茶目で素敵で…。」
「あーはいはい、散々聞かされたから知ってるよ。」
困ったように言いながら、先輩は手を軽く振って、校舎でなく体育館のほうに足を向けた。
「あれ?華実先輩どこ行くんですか?」
「このままじゃ教室に着くまで八智絵に質問攻めにされそうだから、早めに逃げようと思って。」
わぁ酷い。