白兎物語
新たな依頼
狼族の兵士は鍵を開け中に入って来ると腰に刺していた剣を抜き、ロープで縛られ床に転がっているウサ美たちに向かって振りかぶった。

赤ウサJr.「おい!ちょっと待て!火あぶりじゃなかったのかよ!?」

兵士を見上げながら突然の出来事に慌てふためくJr.。

ウサ美「うわっ!やるならコイツからやってくれ!」

そう言って兵士の方にウサ太郎を押し出すウサ美。

ウサ太郎「やめろ!あっ、いや違うんですよ。私はたまたまこの辺りを通り掛かっただけで何かの誤解で捕まったんです。お金ならいくらでも払うんで私だけは助けてくれませんかね?エヘヘ…。」

自分だけは何とかして助かろうと必死なウサ太郎。

ラビィ「最低…。」

バジャール「初対面で何だけどお前…クズだな。」

そう言って虫けらを見るような目でウサ太郎を見つめるバジとラビィ。

するとウサ吉が兵士の前に転がり出てこう言った。

ウサ吉「やるんなら私からやりなさい。仲間が殺されるとこを見るなんて耐えられない…。姫…世界を救ったらあなたに言う事があったけれど、それももう無理みたいです…。さあ、早くやれ!狼族の兵士よ!」

そう言ってウサ吉は静かに目をつぶった。

狼族の兵士「では、望み通りお前からだ。」

次の瞬間、シュッという空気を切り裂く鋭い音と共に振り上げられた剣が覚悟を決めたウサ吉へと振り下ろされた。

(!!!)

残された5匹はとても見る事が出来ずに目をつぶっている。
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