先生の青




家の前に車が止まり


車の窓から
家をじっと見つめて
動かない私に



「いつでも連絡していいから
いつでもオレ行くから」


ゆっくり運転席の
先生の方を向くと


「イチのためなら
飛んでいくよ」


大きな手のひらが
雑に私の頭を撫でる



いつでも?
本当に?
来週の土日でも?



…………バカだな


こんなに
助けてもらったのに
意地の悪いことを



私ってば
根っからのひねくれ者だ



1つ大きく深呼吸して



「先生、本当に
ありがとうございました」



軽く頭を下げた私に


「お礼なんて いらないから

いいか?
辛かったら我慢しないで
すぐ連絡くれよな
約束だぞ」



先生の気持ちが嬉しくて
笑ってうなずいて
車を降りた





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