先生の青



先生は殻を外した
その殻は きっと
私をつなぎ止めるため
必死に被ってた
『頼れる人』の殻



私の手にすがる先生は
赤子同然


立場逆転?



イライラが
すぅ……っと消える


何かをあなたに求めるなら
私はもうとっくに
あなたから離れてる



ギュウッと
先生の頭を抱きしめる


ダメな先生が一番愛しい
私きっと愛人体質だ


やっぱり世間一般が言うような幸せは私に合わない



何もしてやれない
だけど
離したくない
なんて自分勝手を言われて
幸せなんてね


呆れちゃうよ、私。


私の胸に顔を埋めたまま


「イチ、怒れよ
オレを軽蔑して憎め
そして見捨てろ

イチはそうしなきゃいけない」



………また そういうことを


先生の髪に頬をあて


「私にはできない
代わりに先生がしてよ
先生が私を捨てて
私から離れて」



私の腕の中
先生は首を横に振り


「嫌だ。無理、絶対に無理」



無理だよって呟き
私の背中に腕を回して
先生はきつく抱きしめる



「往生際悪いよ、先生」



引き返せないこと知ってるなら

とことん悪い男になりなよ


私も
とことんバカになるし



中途半端な嘘が
一番イライラくるからさ




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