先生の青




「だから、ダメね
精神的に行き詰まると
泉を呼んでしまう」



目を伏せてストローに口を付けたカナさんに



「だったらカナさんは先生を」


そんなに分かり合える先生の事を好きなんじゃ……



「市花さんの年頃なら
仕方ないよね
すぐ恋愛感情に結びつけるの


私は泉に恋愛感情を持った事は一度もない」



「でも先生と寝たんでしょ?」



「寂しくて、泉を呼ぶの。
好きだから、じゃないわ

安定してる時は
泉の事 必要ないもの」



カッと怒りが込み上げた



「先生はあなたをっ……」



先生はカナさんを想ってるのに
そんな必要ないなんて……



カナさんは悪びれた様子もなく



「あの子が私をどう想おうと
私の気持ちを
あの子はわかってる

わかった上で関係を持ったの」



「そんなの」



「『そんなのズルい』って
市花さんは思う?」


カナさんは口元に笑みを浮かべ



「じゃあ、市花さん
私に、じゃなく
『先生に』怒るべきね」



「―――――――………っ」


「私が泉にした事は
先生がイチにした事よね」



唇 噛みしめてうつむいた私に



「………可哀想に」


また あの言葉を彼女は浴びせた




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