先生の青



明け方


先生のすすり泣く声で
目が覚める



「フミ………フミごめ………
行か……なく………ごめ……

ごめん……な……
カナ………オレのせい……
ごめん………ごめ……」




…………また泣いてる



起き上がり
先生の肩を揺すって


「先生、先生!
先生!大丈夫?」



「―――――――………っ!」


息を詰まらせ
先生は驚いたように
目を開き



「……先生、なにか……」


なにか悪い夢でも見たの?


そう聞こうとした私に
両腕を伸ばし
ギュウっと抱きしめた



いきなりで びっくりしたのと
先生の腕の力が強くて
一瞬、息が出来なくなった




ハァ――――――って
先生が長く息を吐いて



「…………ごめん
なんか、寝ぼけたな、オレ」



腕を緩めて私を放した


顔を上げると
先生の頬には
涙が光ってる



手を伸ばし
指先で涙を拭うと



先生は
安心したような
表情をして
また目を閉じた




何があるんだろう


先生とフミとカナ


3人に何が



どうして先生は
こんなに苦しんでるのかな?



何で謝るんだろう………




先生の涙は


私の胸を締め付ける



すぅすぅ寝息をたて始めた
先生の頭を そっと
抱きかかえて
つむじに頬を寄せると
触れる先生の髪がくすぐったい



…………泣かないで 先生



朝が来るまで
ぐっすり眠れるように


悪い夢から
先生を守るように
抱きしめて
目を閉じた




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