かさぶたと絆創膏
思えば秋さんと一緒に暮らし始めたその日からこうだった。
掃除も洗濯物も食事の用意もゴミ捨ても……家事のほぼ100パーセントを秋さんがやってる。
「良いだろ。俺がやりたくてやってるんだから」
サラリと撫でた頭に浮かべた穏やかな笑顔は、初めて会った日を思い出させた。
子ども扱いされて嫌って気持ちは今だって変わらない。
再会したとき、秋さんが綺麗になったって言ってくれてすごく嬉しかった。
体だけじゃない。
中身だって少しくらいは大人になったんだよ。
あの頃みたいに虚勢じゃなく、ホントに成長したつもり。
だって秋さんと同じ目線に立ちたかったから。
だから秋さん。
わたしの好きは本物の愛してますだって、気付いて欲しい。
そして心の片隅でずっと思ってる。
……好きだったお兄ちゃんの代わりはヤダって。
再会した秋さんとまるでそうなる運命だったみたいに恋に落ちて一年。
これがわたしの、幸せな憂鬱だった。