‡G†O†D†s‡〜討魔の一刀〜
 京允と正六は、小屋の奥で刀に手を掛け、身構えている。




 この状況では、何かが起きた時、平治が真っ先に犠牲になる。




 平治の喉は渇いて張り付き、唾をゴクッと飲み込んだ。




 そして覚悟を決めると、戸を一気に開け放った。




 暗い中にずっと居たおかげで、明かりが無くても、何とか外の様子が見えた。




 小男が一人立っていた。




 平治は、一瞬、藤内が化けた少年かとギクッとしたが、そうではないと気が付いた。




「あんたは!」




 平治の声は、ずっと緊張していたせいで、憐れな程かすれていた。




 来客は、平治達に魔薬と病魔の粉を渡しに来るいつもの小男だった。




「ほら、今回の分だ」




 そう言うと、小男が小袋を平治の足元に放る。




「材料は?」




「あ、ああ」




 平治達は、小男のために魔薬の材料になる怪しげな野草や生き物を集めているのだ。




 平治は、小屋に置いてある、材料を取って来ようとした。




 しかし、その時、京允と正六が出て来た。




 その様子に、小男は異変を感じたようだ。
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