風の旅
『私が抜けだしたとき、見つかっちゃって、怒った父に、汚いものを見るような眼をし  た、亡き私の母に嫉妬をする義母に、殴られて、離れを隔離されたの。

 簡単には出られないように。

 それから父が怖くて、本宅の方には近寄らなかったし、父も義母も離れに近寄らなかっ たんだけど、義母兄だけは違ったの。

 彼は、私のことを、何か嫌なことがあるたびにいじめにきたの。

 彼の両親が私のことをないがしろに扱っていたから、自分だってそうしていいと思った みたいで、当然彼の両親も止めなかったし、お手伝いさんたちも当然て眼でこっちを見 てた。

 言葉の暴力は当たり前で、たたいたり、蹴られたり、も当たり前。

 私担当のお手伝いさんだけは、私の見方になってくれて、そんな彼から守ってくれたけ ど。』



そこで一回。

深呼吸をした瑞姫は、怖いのを我慢するような表情で続きを、もっとゆっくり書きつづった。








*
< 20 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop