短編集
B級ドラマの始まり


どうして、それでもいいと言ったんだ。あの日のあたし。

こうなる事は十分に予測できていたのに。
どうして、こんなことに。

なんて、後悔は30秒もあれば充分だ。

だってあたしは、きっとあの日に戻れたとしても同じ゙選択゙をする。
たとえそれが大切な誰かを傷つけたとしても。


そのくらい、馬鹿みたいにあいつが好きだから。昔も今も、そしてこれからも。




「俺、お前の親友の彼氏なんだけど?」

「分かってる。それでもあんたが好きなの」

「最低だな、お前」
「知ってる」


唇に一瞬の温もり。

近すぎる距離のままつぶやいたあいつ。

「ほんと、最低」
あいつは誰に向けて言ったんだろうか。




゙B級ドラマの始まり゙
(そんな言葉が似合うのは、あたし一人で十分だ)




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